私は設計職を中心に求人を探していました。が、求人はほんとうに少なく、設計職はなかなか見あたりませんでした。
だからといってただ待っていたのでは時間ばかりが過ぎてゆきます。
私は、とにかく応募資格がある求人を探すことにしました。
設計にくらべると、事務職の求人は多いほうでした。
私は事務の実務経験もなく簿記などの資格も持っておりません。
ですから「未経験者可」の文字を探しました。
1件ありました。
私は電話で確認しました。確認は大事です。
広告には「未経験者可」と書いてはあるけれど、結局は経験者を優先して採用するのであれば応募するだけ無駄です。実際、「未経験者可」となっていたから履歴書を送ってみたら、あっけなく送り返されてきたことが何度かありました。
それで私は、担当者にはっきり質問しました。
「私は事務の経験も資格も何も持っていません。それでもほんとうに面接してもらえるのですか」
「はい。経験は関係ありません。ただ、簡単な計算問題を解いてもらいます。といってもそれはどのくらいのレベルから教えていけばよいのかを知るためのものですから、できなくてもいいんですよ」
相手の男性は、とても感じのよい方でした。ウソをついているとは思えませんでした。
それで試験を受けることにしたのです。
その週末が面接日でした。
応募者は私のほかに女性が6、7名いました。
筆記試験は全員一緒に行われました。
まわりの女性たちは、やけに頭がよさそうに見えたり、やさしくて気配り上手に感じられたりして、私はちょっと焦りました。なんか負けそう……って。
試験のほうも、なんのこっちゃって感じでした。
ただ、金がらみの計算(経理?)だったので、なんとか答えを出しました。たぶん不正解のほうが多かったでしょうけど。
そんなふうに、ダメかこりゃ……とあきらめかけてしまいましたが、まだ望みがありました。
面接が残っていました。まだわかりませんよ。
面接してくれたのは電話で話した方でした。
まだ30代にしか見えない若い男性でした。
この方が、じつにさわやかで感じがよくて、なかなかの男前でした。
「どうでしたか」彼が感想を訊いてきました。
「試験が難しくてあまりできませんでした」
「試験はどの程度から教えていけばいいのかを確認するためのものですから、できなくても大丈夫ですよ。できないところから教えていきますから」
優しい言葉でした。
それから彼は履歴書を見ながら言いました。
「誕生日が同じでびっくりしました」
「そうなんですか」これは素敵な偶然じゃないですか。
なんて浮かれている場合ではありません。
面接後半で彼がこう問いました。
「もしもHさんが事務員で、営業担当の方たちとうまくやっていこうとしたら、どういうことを気をつけますか」
私はすぐに言葉が出ませんでした。
この手の質問は初めてでした。
しかも、質問が漠然としているので、どの方向で答えればいいのか判断に迷いました。
仕事の面でのことか……いや、人間関係の面でのことか……
私は後者をとりました。
「営業の方が外回りから帰ってきたときには『お帰りなさい』と言ったり、コーヒーを出してあげたりします」
ここで男性は、哀れみを感じさせる笑顔を見せました。
もちろん私に対する哀れみです。
違ったか……!!
もう取り返しがつきませんでした。
それに、正解が何かはよくわかりませんでしたから、どのみちダメだったでしょう。
私はがっくりして面接を終えました。
数日後、会社から自宅に封書が届きました。
結果は、やはり不採用でした。
先方からのお断りの手紙は、これまでに見たことのない内容でした。
私のことを気遣った、心のこもったものでした。
私は、その誠意にあふれる文面を見て、この人の下で働きたかった……としみじみ思いました。
それにしても、あの質問の模範解答とはいったいなんだったと思いますか。
営業の仕事のサポートをする――とでも答えればよかったのでしょうか。
いまだに解けない問題です。
だからといってただ待っていたのでは時間ばかりが過ぎてゆきます。
私は、とにかく応募資格がある求人を探すことにしました。
設計にくらべると、事務職の求人は多いほうでした。
私は事務の実務経験もなく簿記などの資格も持っておりません。
ですから「未経験者可」の文字を探しました。
1件ありました。
私は電話で確認しました。確認は大事です。
広告には「未経験者可」と書いてはあるけれど、結局は経験者を優先して採用するのであれば応募するだけ無駄です。実際、「未経験者可」となっていたから履歴書を送ってみたら、あっけなく送り返されてきたことが何度かありました。
それで私は、担当者にはっきり質問しました。
「私は事務の経験も資格も何も持っていません。それでもほんとうに面接してもらえるのですか」
「はい。経験は関係ありません。ただ、簡単な計算問題を解いてもらいます。といってもそれはどのくらいのレベルから教えていけばよいのかを知るためのものですから、できなくてもいいんですよ」
相手の男性は、とても感じのよい方でした。ウソをついているとは思えませんでした。
それで試験を受けることにしたのです。
その週末が面接日でした。
応募者は私のほかに女性が6、7名いました。
筆記試験は全員一緒に行われました。
まわりの女性たちは、やけに頭がよさそうに見えたり、やさしくて気配り上手に感じられたりして、私はちょっと焦りました。なんか負けそう……って。
試験のほうも、なんのこっちゃって感じでした。
ただ、金がらみの計算(経理?)だったので、なんとか答えを出しました。たぶん不正解のほうが多かったでしょうけど。
そんなふうに、ダメかこりゃ……とあきらめかけてしまいましたが、まだ望みがありました。
面接が残っていました。まだわかりませんよ。
面接してくれたのは電話で話した方でした。
まだ30代にしか見えない若い男性でした。
この方が、じつにさわやかで感じがよくて、なかなかの男前でした。
「どうでしたか」彼が感想を訊いてきました。
「試験が難しくてあまりできませんでした」
「試験はどの程度から教えていけばいいのかを確認するためのものですから、できなくても大丈夫ですよ。できないところから教えていきますから」
優しい言葉でした。
それから彼は履歴書を見ながら言いました。
「誕生日が同じでびっくりしました」
「そうなんですか」これは素敵な偶然じゃないですか。
なんて浮かれている場合ではありません。
面接後半で彼がこう問いました。
「もしもHさんが事務員で、営業担当の方たちとうまくやっていこうとしたら、どういうことを気をつけますか」
私はすぐに言葉が出ませんでした。
この手の質問は初めてでした。
しかも、質問が漠然としているので、どの方向で答えればいいのか判断に迷いました。
仕事の面でのことか……いや、人間関係の面でのことか……
私は後者をとりました。
「営業の方が外回りから帰ってきたときには『お帰りなさい』と言ったり、コーヒーを出してあげたりします」
ここで男性は、哀れみを感じさせる笑顔を見せました。
もちろん私に対する哀れみです。
違ったか……!!

もう取り返しがつきませんでした。
それに、正解が何かはよくわかりませんでしたから、どのみちダメだったでしょう。
私はがっくりして面接を終えました。
数日後、会社から自宅に封書が届きました。
結果は、やはり不採用でした。
先方からのお断りの手紙は、これまでに見たことのない内容でした。
私のことを気遣った、心のこもったものでした。
私は、その誠意にあふれる文面を見て、この人の下で働きたかった……としみじみ思いました。
それにしても、あの質問の模範解答とはいったいなんだったと思いますか。
営業の仕事のサポートをする――とでも答えればよかったのでしょうか。
いまだに解けない問題です。
この記事へのコメント
初めまして、ゆりと申します。
ぶろぐひろばより、飛んできました。
興味のある内容だったので、
コメントさせてくださいね。
私も結構面接の経験があります
いろんな職にも就きました。
が、今は、CAD設計に落ちついています。
営業も経験しています。
事務職の人とのコミュニケーションはすごく大事で、お客様からの連絡があった場合とか、提出に期限のある書類の確認とか、とても、重要なことをお願いする相手なので、営業をしていたときは、こちらからの
声掛けではなくて、処理済みましたよとか、今こういう状況だよとか、
色々、会社と、顧客の間にいる営業の人間にとっては、事務の人との、
短い時間のやりとりは、とても重要だったように記憶しています。
今は、営業はしたいとは想いません。CADが天職と想っていますから。AUTO-CADの2Dから始めて今は、CATIAです。
楽しいです。
模範解答があるのなら、私も知りたいですね。
良い面接官で良かったですね。
ぶろぐひろばより、飛んできました。

興味のある内容だったので、
コメントさせてくださいね。
私も結構面接の経験があります
いろんな職にも就きました。
が、今は、CAD設計に落ちついています。
営業も経験しています。
事務職の人とのコミュニケーションはすごく大事で、お客様からの連絡があった場合とか、提出に期限のある書類の確認とか、とても、重要なことをお願いする相手なので、営業をしていたときは、こちらからの
声掛けではなくて、処理済みましたよとか、今こういう状況だよとか、
色々、会社と、顧客の間にいる営業の人間にとっては、事務の人との、
短い時間のやりとりは、とても重要だったように記憶しています。
今は、営業はしたいとは想いません。CADが天職と想っていますから。AUTO-CADの2Dから始めて今は、CATIAです。
楽しいです。
模範解答があるのなら、私も知りたいですね。
良い面接官で良かったですね。
ゆりです。
すみません・・・間違えました。
ぶろぐひろばから、ブログの殿堂にとんで、そこから、飛んできました。

すみません・・・間違えました。
ぶろぐひろばから、ブログの殿堂にとんで、そこから、飛んできました。

管理人のはこべです。
ゆりさん、コメントありがとうございました。
そういえば私、面接前の説明会で、ゆりさんのコメントと同じことを言われてました。
納品とか書類とか、営業の人が忙しくて忘れていることもあるから、声をかけてほしいって。
それなのに「コーヒーを出す」とかとんちんかんな答えをしてしまったんですよ。
恥ずかしい!
面接の相手はきっと私のことを「説明をちゃんと聞いてなかったな」と思ったんでしょうね。
考えすぎて失敗したパターンでした。
ゆりさん、コメントありがとうございました。
そういえば私、面接前の説明会で、ゆりさんのコメントと同じことを言われてました。
納品とか書類とか、営業の人が忙しくて忘れていることもあるから、声をかけてほしいって。
それなのに「コーヒーを出す」とかとんちんかんな答えをしてしまったんですよ。
恥ずかしい!
面接の相手はきっと私のことを「説明をちゃんと聞いてなかったな」と思ったんでしょうね。
考えすぎて失敗したパターンでした。
2007/02/17(土) 13:13 | URL | はこべ #-[ 編集]
迅速正確柔軟な対応と感謝や謝罪を口に出して言うこと。
と思います。
と思います。
2007/06/29(金) 13:03 | URL | ま #-[ 編集]
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