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私と一緒に入社した女性はふたりいました。
三人ともステージに上がらされました。

さすがの社長も遠慮したのか、最初の質問はマシでした。
「会社の男性社員の中で、誰がタイプ?」
この程度なら耐えられます。
一番目の女性が、先輩男性社員の名前をあげました。
二番目の女性が、「社長です」と言いました。
社長が嬉しそうな顔をしました。
私は、彼女が媚を売っているようで嫌悪を覚えました。
最後に私の番です。「誰でもいいです」と言っときました。

質問はまだ終わりません。
「じゃあ、女性社員では誰が好き?」
そんなこと訊いて何が楽しいんでしょうね。
先ほどと同じ順番で答えていきました。
それぞれ名前を挙げました。

私が選んだ女性社員は、若くて細身のきれいな人でした。
社長は、その名前を聞くと、出席していた彼女を見て、
「え、○○のことがいいの? だって、あいつの乳輪、こんなに大きいんだよ」
と、両手で円を作ってみせました。

私には理解できませんでした。
彼女だってほかの人たちだって、みんな社長の部下です。
なぜそんな残酷なことができるのでしょうか。

「酔っていたからでしょ」――そう考える人もいるかと思いますが、社長はしらふでした。
もし酒を飲んでいたとしても、それを理由にセクハラを正当化することは許されません。

そんなことを考えていたら、今度は私がターゲットになってしまいました。
社長が私だけに訊きました。
「当たるのと、当たらないのと、どっちがいい?」
意味をとり損ねている私に、彼は言葉を足しました。
「奥まで当たるのと当たらないのと、君はどっちがいい?」
やっぱり下ネタでした。
おまけに、答えられるわけもないので私が黙っていても、
「ねえ、どっち?」
と、しつこいのです。答えるまで許さないつもりです。 

私は焦燥しました。
普通に答えることなど絶対にできません。
かといって何か答えなければ社長に睨まれることになってしまします。
私は数秒間だけ考えて、やっとひとつだけ逃げる方法を思いつきました。
躊躇したけれど、ほかに考える時間はありませんでした。
やるしかなかったのです。
私は、大きく頭をかしげながら、
「えーっ、わかんなーい」
と、コギャル風に言いました。

その私の姿は、社長以外の人たちの目には悲痛に映ったことでしょう。
みんなリアクションに困っていました。

すると、社長が顔を近づけてきて、
「俺のは当たるよ。大きいから」
そんなのどうだっていいし、急場をしのぐためとはいえバカみたいにおどけるしかなかった自分がみじめで、私は笑顔を作ることができなくなっていました。

でも、私の対応は正解のほうだったと思います。
おかげでセクハラ問答から開放されたのだから。


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