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正直もほどほどに

私が立ち会った面接の、もうひとりの応募者は、20歳くらいの、これまた男性でした。素朴で、なんとなくのんびりしたような印象でした。

面接は、何の問題もなく進んでいきました。
この応募者には、前回の人のような「変な癖」はないようで安心しました。
ですから私は、これは採用になるかもしれないな、と勝手に思っていました。

面接もそろそろ終わりのころ、支店長がこう質問しました。
「協調性はありますか」

私は当然、彼が「あります」とか「あると思います」と答えると思いました。というか、それ以外に答えはないでしょう。

その若い彼、笑顔で、「ありません」と言い切りました。

私と支店長「……」
いやいや、何かの間違いかもしれませんよ。

支店長もそう思ったのか、もう一度訊きました。
「協調性はありま…すよね」

するとマイペースそうな彼は、またも笑顔で、
「いいえ、ありません」
とキッパリ。

これが吉本新喜劇だったらコケてるところだけど、面接だからそうもいかず、じっとしているしかありませんでした。

ということで、彼も不採用でした。


質問に正直に答えるのはいいことです。でも、バカ正直はいけません。
協調性についての質問には、彼の場合、「自分ではあると思っております」とでも答えればよかったんですよ。
この、「自分では〜思っております」という言葉は、とても便利な言葉です。

私も使ったことがありました。それも、この会社の面接で、支店長の質問に対してでした。
支店長が、
「(性格が)暗いんじゃないよね?」
と不安そうに訊いてきました。

私は、初対面の人からは、おとなしそうに見られます。
でも「暗い」と言われたのは初めてでした。
失礼なヤツだな、と思いつつ、私は笑顔で答えました。
「いいえ、自分では普通に明るいと思っております」
これには支店長も文句は言えず、というよりは納得してくれたようでした。でなきゃ採用されなかったでしょう。

そんなふうに、面接では絶対に自分のマイナスになることは言ってはいけません。
ものは言いようですよ。自分が思っている分にはウソにはなりませんから。ただし、多用すると印象が悪くなるかもしれませんのでほどほどに。

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